bind-chrootでDNSサーバ構築時にハマりやすいポイント
こんにちは、じんないです。
RedHat Enterprise Linux 7.3 (CentOS 7.3)とbind 9.9.4を使って内部DNSサーバの構築をしていました。
bindによるDNSサーバの構築事例はたくさんありますが、どうもエラーが発生しうまくいきませんでした。
今回は同じような経験をされている方やbindを始めたばかりという方に、bind-chrootで注意しておきたいポイントを紹介します。
前提としてnamed.confやゾーンファイルの書き方は記載していません。
概要
bindを使ったDNSサーバの構築事例を見ていると、以下のような手順が多く見受けられます。
- bindのインストール
- chroot化のスクリプト実行
- named.confの編集
- ゾーンファイルの作成
- named-chrootの起動
すんなりいけばいいのですが、5の起動が失敗した場合に「あれ、さっきまであったファイルがなくなったぞ!」となってしまうだけでなく、あれこれいじっている間にエラーのスパイラルに陥ってしまいます。
なぜそのようなことになるのかを紐解いていきますが、結論から言うと「chroot化のスクリプト実行」がよくないなのです。
chroot化のスクリプトは /usr/libexec/setup‐named‐chroot.sh
で、bind-chrootのインストールと共に自動で生成されます。
そもそもchroot化って
ルートディレクトリを変更することを言います。
bindのルートディレクトリは/
ですが、chroot化することで /var/named/chroot
がルートディレクトリになります。
プロセスがアクセス可能な範囲を制限することが目的です。
万が一攻撃された場合に必要外のファイルを参照させないなど、セキュリティ面において実施されることが多いかと思います。
chroot化のスクリプトがやっていること
chroot化のスクリプトとして、以下のコマンドを実行しています。
/usr/libexec/setup‐named‐chroot.sh /var/named/chroot on
これは何をしているかというと、bindに必要なディレクトリとファイルを/var/named/chroot
にマウントしているんですね。
例を挙げると以下のような感じです。
- /etc/named.conf → /var/named/chroot/etc/named.conf
- /var/named/“ゾーンファイル” → /var/named/chroot/var/named/“ゾーンファイル”
これをoffにするとマウントは解除されます。
/usr/libexec/setup‐named‐chroot.sh /var/named/chroot off
実際にon / offし、lsコマンド等でマウントの動きを見てみることをおすすめします。
そして、先に**「chroot化のスクリプト実行」がよくない**と述べた理由ですが、named-chroot.service
の起動 / 停止に伴ってマウント / アンマウントが自動的に行われています。
つまり、本来は**「chroot化のスクリプト実行」をする必要がない**んです。
それを知らずに「5. named-chrootの起動」で失敗した場合、マウントが解除されてしまって当の本人は「あれ、さっきまであったファイルがなくなったぞ!」とパニックになるわけです。
bindのstatusにも「このファイルがない」「あのファイルがない」とエラーがでて、いろいろいじくっていたら何がなんだかわからないという状態に。
私もこれにはずいぶんとハマりました。
ハマらないための構築手順
chrootでハマらないためにはchroot化スクリプトを使わないことと、マウントされたファイルは触らないことに注意して以下の手順で構築してみてください。
1. bindのインストール
[root@jinnai7 ~]# yum -y install bind bind-chroot bind-utils
bind-utils
は dig や nslookup コマンドを使うために必要です。
2. named.confの編集
編集するファイルは/etc/named.conf
3. ゾーンファイルの作成
作成するファイルは/var/named/"ゾーンファイル"
4. named-chrootの起動
[root@jinnai7 ~]# systemctl start named-chroot.service
OS起動時に自動起動させる場合は、以下もあわせて実施してください。
[root@jinnai7 ~]# systemctl enable named-chroot.service
設定の編集が必要になった場合は、サービスを停止させて2~4の手順を踏めば大丈夫です。
繰り返しになりますが、最初にchroot化しないことでハマる確立はぐっと下がります。
作業前にはバックアップやスナップショットとっておき、いつでもクリーンな状態に戻せるようにしておくとさらにgoodです。
bindでハマるとなかなか抜け出せませんが、あきらめずトライしてみてください。
ではまた。