USB NIC構成のESXiで仮想マシンがネットワークに接続できない問題の対処法

USB NIC構成のESXiで仮想マシンがネットワークに接続できない問題の対処法

はじめに

VMware ESXiをノートPCや小型PCなどで検証環境として構築する際、USB NICを利用してネットワークを構成するケースが増えています。

今回は、USB NICを2本使用した環境で「仮想マシンがネットワークに接続できない」という問題に遭遇しました。この記事では、発生した現象・仮説・実施した対処法を紹介します。ただし、特定バージョンやUSB NICとの因果関係までは確定できていないため、その点も含めて参考情報としてご覧ください。


検証環境

  • ホスト: Lenovo X1 ノートPC
  • ESXiバージョン: 8.0.1 Build 21495797
  • NIC構成: USB NIC × 2本(vusb0, vusb1)
  • USB NIC: レノボ・ジャパン 4X90S91830 ThinkPad USB3.0 - Ethernet アダプター
  • 仮想マシン: deploy-tousb

問題の内容

  • ESXiホストの管理画面(Host Client)には正常にアクセス可能
  • 管理ネットワーク(VMkernelポート)は通信可能
  • しかし、仮想マシンから外部ネットワーク(ゲートウェイ)への通信ができなかった
    • pingで「Destination Host Unreachable」または応答なし
      2025 05 25 22h20 32

      Ping不通

仮説と状況

調査の結果、ESXiの仮想スイッチ(vSwitch0)には仮想マシン用の「VM Network」が正しく存在し、仮想マシンもそれに接続されていました。

2025 05 25 18h17 19

vSwitch0の概要

しかし、VM Network に割り当てられた物理NIC(vusb0など)が、スタンバイ状態(フェイルオーバー構成の待機側)になっていた可能性が高いと考えられました。

2025 05 25 18h41 21

スタンバイ状態

この構成により、仮想マシンの通信が物理NICに流れず、外部ネットワークと接続できなかったと推測されます。

なお、USB NICの初期化タイミングや安定性、ESXiの自動構成挙動などが影響している可能性もありますが、明確な原因の特定にはいたっていません

対処法

以下の手順で解消しました。

  1. ESXi Web UI(Host Client)にログイン
  2. 「ネットワーク」 > vSwitch0 > VM Network を選択
  3. 「NIC チーミングとフェイルオーバー」設定を確認
  4. vusb0スタンバイからアクティブに変更

2025 05 25 18h41 211

アクティブとしてマークをクリック

2025 05 25 18h41 29

アクティブになった

  1. 設定を保存
  2. 仮想マシンを再起動

変更後、仮想マシンからのpingが成功し、外部ネットワークと通信可能になりました。

考察:なぜこの問題が起きたのか?

以下は考えられる要因ですが、確定ではありません。

  • USB NICの初期化タイミングが遅延して、ESXiがスタンバイ扱いに設定した可能性
  • vSwitch自動構成時のNIC割り当てが意図しない形で適用された
  • USB NICが非公式サポートのため、ドライバーの影響を受けやすい

まとめ

USB NICを使用したVMware ESXi構成では、仮想マシン用ポートグループと物理NICの紐づけ状態に注意が必要です。

特に今回のように、「管理ネットワークは問題ないが仮想マシンだけ通信できない」場合、フェイルオーバー設定の見直しが有効です。

本記事の内容は一例であり、再現性はありますが、すべての環境に当てはまるとは限りません。環境依存の可能性もあるため、設定確認の一助としてご活用ください。

それでは次回の記事でお会いしましょう。

norikazum