EF Core 3.x で既存の SQL Server からスキャフォールディングで DbContext を生成する
既存のデータベースに .NET Core のアプリケーションからアクセスする際、 Entity Framework Core を使いたいわけですが、いちいち DbContext やモデル定義を書くのも疲れます。
というわけで EF Core にはデータベースからリバースエンジニアリングして、手軽に (?) DbContext とモデルクラス (エンティティクラス) を生成する方法が用意されていますので、これを紹介します。
前提
- .NET Core SDK 3.1.200
- Entity Framework Core .NET Command-line Tools (dotnet-ef) 3.1.3
そもそも .NET Core SDK がインストールされていない場合は、下記のページからダウしてインストールしてください。
インストール
EF Core のインストール
EF Core のコマンドラインツールがインストールされていない場合はグローバルにインストールします。
dotnet tool install --global dotnet-efEF Core パッケージのインストール
コマンドプロンプトか PowerShell でプロジェクトフォルダ (*.csproj などがあるフォルダ) を開き、スキャフォールディングに必要なパッケージをインストールします。
dotnet add package Microsoft.EntityFrameworkCore.Design
dotnet add package Microsoft.EntityFrameworkCore.SqlServerインストールされたことを確認します。
dotnet restore
dotnet efもし下記のようなメッセージがでるようであれば、 %USERPROFILE%\.dotnet\tools に PATH が通っていない可能性があります。 .NET Core SDK を初めて使用するときであればマシンを再起動したほうがよいようです。
指定されたコマンドまたはファイルが見つからなかったため、実行できませんでした。
次のような原因が考えられます:
* 組み込みの dotnet コマンドのスペルが間違っている。
* .NET Core プログラムを実行しようとしたが、dotnet-ef が存在しない。
* グローバル ツールを実行しようとしたが、プレフィックスとして dotnet が付いたこの名前の実行可能ファイルが PATH に見つからなかった。dotnet ef によるスキャフォールディング
dotnet ef コマンドがインストールできたら、実際のテーブルから dotnet ef dbcontext scaffold を使ってスキャフォルーティングを実行します。リファレンスは下記の MS Docs です。
dotnet ef dbcontext scaffold コマンドは下記のような構成になります。
dotnet ef dbcontext scaffold "接続文字列" Microsoft.EntityFrameworkCore.SqlServer --table テーブル名 --context-dir DBコンテキストのディレクトリ --output-dir モデルクラスのディレクトリ --context DBコンテキストのクラス名なお、 dotnet ef コマンドは引き続きプロジェクトフォルダで実行するか、プロジェクト名を --project オプションで指定してください。ソリューションフォルダなど、プロジェクトファイルが存在しなければ下記のようなエラーが表示されます。
No project was found. Change the current working directory or use the --project option.引数
接続文字列
dotnet ef dbcontext scaffold の第1引数はデータベースへの接続文字列を指定します。 SQL Server 認証であれば典型的には下記のような文字列です。
Data Source=ホスト名かIPアドレス;Initial Catalog=データベース名;User ID=ユーザー名;Password=パスワード詳細は MS Docs を参照してください。
プロバイダー名
dotnet ef dbcontext scaffold の第2引数はプロバイダー名 (プロバイダー ≒ DBMS) です。
SQL Server の場合は Microsoft.EntityFrameworkCore.SqlServer (追加したパッケージの NuGet パッケージ名) を指定します。
オプション
テーブルの指定
テーブルを指定しないとデータベースに含まれるすべてのテーブルがスキャフォールディングされます。
プログラムで一部のテーブルしか必要がない場合はスキーマ単位かテーブル単位でテーブルを制限します。
スキーマ単位の場合は --schema を使用して、 --schema hoge のように指定します。
テーブル単位の場合は --table を使用して、 --table M_CODE のように指定します。複数のテーブルを指定する場合は --table M_CODE --table M_USERS のように複数回指定します。
なお、異なるスキーマ間に同名のテーブルが存在する場合は、 --table hoge.M_CODE のようにスキーマ名も指定すれば、特定のテーブルに限定することができます。ちなみに、テーブル名のみ指定した場合は、存在するテーブル数分クラスが作成されます。
名前の保持
デフォルトではデータベースの命名規則によらず、モデルクラスが .NET の命名規則に則ったパスカルケースの名前に変換されます。
たとえば M_CODE というテーブル名は MCode クラスに、 GROUP_ID というカラム名は GroupId になります。
public partial class MCode
{
public int GroupId { get; set; }
}データベースで定義されている名前をそのままメンバー名に用いるには --use-database-names オプションを使用します。リファレンスには「可能な限り」とありますので、 .NET で名前として使用できない場合を除いて、そのままの名前が用いられるようです。
このオプションを利用すると上記のクラスは下記のようにデータベースと同じ名前になります。
public partial class M_CODE
{
public int GROUP_ID { get; set; }
}Fluent API か DataAnnotations
デフォルトではカラムの属性などは Fluent API を使って表現されますので、モデルクラス側は非常にシンプルな POCO クラスになります。
モデルクラス
public int GroupId { get; set; }DbContext 側に記述された Fluent API
entity.Property(e => e.GroupId)
.HasColumnName("GROUP_ID")
.HasComment("グループID");--data-annotations オプションを指定すると DataAnnotations を使ってモデルクラス側に属性定義を記述させることもできます。ただし DataAnnotations で表現できない属性は Fluent API で記述されます。
モデルクラス
[Key]
[Column("GROUP_ID")]
public int GroupId { get; set; }DbContext 側に記述された Fluent API
entity.Property(e => e.GroupId).HasComment("グループID");DbContext 名
デフォルトでは生成される DbContext クラスの名称は データベース名 + Context になります。たとえば hoge データベースであれば hogeContext クラスになります。
任意の名前にした場合は、 --context オプションに --context HogeDbContext のように指定します。
出力ディレクトリ
デフォルトではプロジェクトのルートフォルダに DbContext とモデルクラスが展開されてしまいます。
サブディレクトリに格納したい場合は --output-dir オプションで指定します。このサブディレクトリ名は生成されるクラスの名前空間にもなりますので、適切なものを指定します。
DbContext クラスはモデルクラスと同じディレクトリに生成されますが、 DbContext クラスのみ別ディレクトリにしたい場合はさらに --context-dir を指定します。




