Server Migration Tool を使って Trend Micro Apex One 2019 を移行する

Server Migration Tool を使って Trend Micro Apex One 2019 を移行する

こんにちは、じんないです。

Trend Micro Apex One 2019 (以下、Apex One) では管理サーバーの移行用に Server Migration Tool が用意されています。

今回は Server Migration Tool を使って Apex One を移行する方法を紹介します。

想定環境

  • 移行元
    • OS: Windows Server 2012 R2
    • バージョン:Trend Micro Apex One 2019 ビルド 11564
  • 移行先
    • OS: Windows Server 2022
    • バージョン:Trend Micro Apex One 2019 ビルド 11564

Apex One では予期せぬトラブルを防止するために、移行元と移行先で最新バージョンを使用することが推奨されています。

移行のシナリオ

移行のシナリオは下記の2パターンがあります。

  1. 移行前後でコンピューター名と IP アドレスが同じ場合
  2. 移行前後でコンピューター名と IP アドレスが異なる場合

それぞれ以下のような特徴があります。

1. 移行前後でコンピューター名と IP アドレスが同じ場合

  • コンピューター名と IP アドレスが同じなため、エージェントの移行作業が実質ない。
  • コンピューター名と IP アドレスを切り替えたあとに新規インストールする必要があるため、サービスのダウンタイムが長い。

2. 移行前後でコンピューター名と IP アドレスが異なる場合

  • 移行元サーバーを稼働させながら移行先サーバーを構築できるため、切り替え時のサービスのダウンタイムが短い。
  • エージェント移行の際、すべてのエージェントの参照先が移行先サーバーに切り替わるまで移行元サーバーを停止できない。

※ 上記はエージェントの再インストールで新しい参照先に変更できるようです。

今回は 1. 移行前後でコンピューター名と IP アドレスが同じ場合 を例にシナリオを紹介します。

具体的には下記のような流れです。

  1. 移行元サーバーの設定をバックアップ
    1. 設定のバックアップ
    2. サーバー証明書のバックアップ
  2. コンピューター名と IP アドレスを変更(引き継ぎ)
  3. 移行先サーバーに Apex One をインストール
    1. インストール時に証明書をリストア
  4. 移行先サーバーで設定をリストア
  5. Apex One エージェントの移行

公式ページにも概要は載っているのですが、具体的にいつどのようにするのかの情報が不十分でしたので、そのあたりのポイントに触れたいと思います。

詳細な手順は割愛していますのでご了承ください。

移行の流れ

設定のバックアップ

Server Migration Tool を移行元サーバーで実行し、設定をバックアップします。

Server Migration Tool は Apex One にバンドルされており、通常は以下のパスに格納されています。

C:\Program Files (x86)\Trend Micro\Apex One\PCCSRV\Admin\Utility\ServerMigrationTool\ServerMigrationTool.exe

ServerMigrationTool.exe を管理者として実行し、設定を任意の場所にエクスポートします。

Server Migration Tool

Server Migration Tool

設定のエクスポート

設定のエクスポート

エクスポート完了

エクスポート完了

エクスポートしたファイルは移行先サーバーの任意の場合に格納しておきます。

サーバー証明書のバックアップ

公式のページでは certificateManager コマンドを使用するようなことも書いているのですが、セキュリティ観点から比較的新しいバージョンでは使えないようです。

サーバ認証機能の概要および証明書の更新(変更)/バックアップ方法について | Trend Micro Business Support

本環境 (ビルド 11564) では OfficeScanAuth.dat というファイルを移行元サーバーからコピーするだけで OK でした。

以下のパスに格納されています。

C:\Program Files (x86)\Trend Micro\Apex One\AuthCertBackup\OfficeScanAuth.dat

バックアップした dat ファイルは移行先サーバーの任意の場所に格納しておき、Apex One インストール時にインポートします。

サーバー証明書ファイルのバックアップ

サーバー証明書ファイルのバックアップ

任意の場所に格納

任意の場所に格納

Apex One のインストール

コンピューター名と IP アドレスを変更後、移行先サーバーで Apex One をインストールします。手順は公式のマニュアル等を参照してください。

Apex One のインストールの途中で、サーバー証明書のインポート画面が出てきます。

先に格納しておいた OfficeScanAuth.dat を指定し、バックアップパスワードを入力しインポートします。

証明書のインポート

証明書のインポート

パスワードが分からない場合は、新しい証明書を生成するしかないようです。

ちなみに、このサーバー証明書が移行できなかった場合にどのような影響があるのかは分かりませんでした。

設定のリストア

Server Migration Tool を移行先サーバーで実行し、設定をリストアします。

バージョンによって異なるかもしれませんが、Server Migration Tool の格納場所は同じでした。

設定のインポート

設定のインポート

確認画面

確認画面

実行結果

実行結果

以上で、Apex One の移行は完了です。Apex One コンソールから設定が移行されているか確認してください。

移行前後でコンピューター名と IP アドレスが同じ場合は、移行先サーバーへとエージェントが順次接続されます。

エージェントツリーからエージェントが登録されるか確認しておきましょう。

こんな画面が表示されたら

設定のリストアの際に以下のような画面が表示されることがあります。

ドメインの重複

ドメインの重複

インポート時に、ドメインツリーに構成されたドメインがすでに存在する場合に表示されるようです。

この場合、重複されたドメイン情報が移行されないため、ドメインに紐づく検索設定などが移行されません

同ディレクトリに出力された DuplicateDomainList.txt で記載されているドメインを削除し、再試行してください。

重複したドメインリスト

重複したドメインリスト

同様のダイアログがでなければ成功です。

念のため検索設定等が引き継がれているか確認しておきましょう。

ではまた。

参考

jinna-i