[セサミロック] オフィスの入退出履歴を顔認証で記録する
こんにちは、 kenzauros です。
今回はオフィスのスマートロックとして CANDY HOUSE のセサミを導入し、オフィスの入退出履歴を顔認証で記録する取り組みについて紹介します。
背景
弊社では ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム; ISO 27001)の内規で、オフィスの入退出記録を残すことが求められています。
大手企業などでは、入退出記録を残すために専用のカードリーダーや生体認証デバイスを導入していることが多いと思いますが、弊社のオフィスではそこまで大がかりなものは導入しづらいため、オフィスの鍵部分につけるリモートロックを導入し、入退出の履歴を残すようにしています。
これまで SwitchBot 社のスマートロックと指紋認証パッドを使い、指紋で個人を識別していましたが、アプリから施錠・解錠履歴の確認が不安定なこと、データのダウンロードやエクスポートができないこと、カスタマーサポートの対応品質が低下してきたことなどから、乗り換えを検討していました。
代替ソリューションの検討
乗り換えを検討する中で、以下のような制約や条件を考慮しました。
- 【必須】解錠時に生体認証で個人を識別できること
- 【必須】施錠・解錠履歴を記録できること
- 【必須】施錠・解錠履歴データのダウンロードやエクスポートができること
- 【できれば】顔認証が可能であること
- 【できれば】施錠・解錠履歴を取得できる API が提供されていること
- 【できれば】カスタマーサポートの対応品質が高いこと
- 【できれば】ドアクローズ後に自動施錠ができること
- 【できれば】解錠速度が速いこと
この中で「生体認証で個人を識別」という条件を満たす製品は限られており、以下のようなメーカー・機器はオプションでも生体認証を提供していませんでしたので、対象外となりました。
- Qrio | Qrio Lock
- ミネベアミツミ | SADIOT LOCK(サディオロック)
- ビットキー | bitlock MINI
結局のところ、手軽に導入できる製品は以下の2つ(SwitchBot のロックと CANDY HOUSE のセサミ)に絞られました。
メーカー | 商品名 | 価格(セット一式) | 生体認証 | 履歴の記録 | 履歴のエクスポート | 履歴取得 API | 自動施錠 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
SwitchBot | ドアロックUltra 顔認証セット |
約45,000円 | 指紋認証 顔認証 |
あり | なし | なし | あり |
CANDY HOUSE | SESAME 5 Pro | 約15,000円 | 指紋認証 顔認証 |
あり | あり | あり | あり |
このうち、 SwitchBot は先述のとおり現状利用していて不満があることと、最新の機器(ドアロックUltraや顔認証パッド)はかなり高価になってきていることから採用しないことにしました。
よって、代替として CANDY HOUSE のセサミを検討することにしました。
セサミとは
セサミは、CANDY HOUSE JAPAN 株式会社が販売しているスマートロックと関連製品群で、名前は「開けゴマ(=英語でセサミ)」が由来のようです。
もともと台湾出身の古 哲明 (Jerming Gu、ジャーミン グー) 氏が、スタンフォード大学留学中に、学生寮で3Dプリンターを使ってスマートロックの開発をはじめたことがきっかけで、2015年にクラウドファンディングの Kickstarter で資金を獲得し、CANDY HOUSE を創業しました。
東京に本社をかまえ、アメリカ、中国、台湾に拠点をもつグローバル企業です。にも関わらず、製品レビューにはCEOであるグー氏が直接返信するなどがホームページでも確認でき、購入前からカスタマーサポートの対応品質がよさそうだと感じました。
ロックの性能(精度や速度)や生体認証の精度などは実際に使ってみないとわからないため、まずは試しに購入してみることにしました。
以下、商品群を指すときは「セサミ」、個々の商品名は公式ホームページの表現を優先します。
今回導入したセサミの構成
弊社では以下のセットを使っています。
- SESAME 5 Pro 4,980円 【必須】
- ロック本体です。
- SESAMEフェイス Pro 5,980円 または SESAMEフェイス 5,480円 【ほぼ必須】
- 顔認証を利用するためのデバイスです。手のひら静脈認証や指紋認証も可能ですが、弊社では顔認証をメインにしています。
- Hub3 1,980円 【ほぼ必須】
- Wi-Fi に接続し、ロックのデータをクラウドに送信するのに必要なハブです。これがないとロックの操作履歴をクラウドへ送信するためにいちいちスマホアプリを開かないといけません。
- オープンセンサー 980円 【ほぼ必須】
- ドアの開閉状態の検出に必要です。これがあるとドアが閉じられたとき、自動施錠できるようになります。
- リモート 980円 【オプション】
- ロックのノブを回せば解錠できますが、ボタンで解錠できると便利です。
ちなみに上の金額を足してもらえばわかりますが、上記一式そろえた場合で1万5000円程度です。他社のスマートロックと比べるとかなり安価で試しやすいでしょう。
API が提供されている
セサミでは公式に Web API (Sesame API) が提供されており、ロックの状態や利用履歴、解錠などをリモートで行えることも特長です。
製品自体が安価なのにもかかわらず、API まで無償で提供されていて、とても良心的な会社だと感じました。
設置
弊社のオフィスのドア鍵は、もともとドアノブが丸型のインテグラルタイプでした。このタイプは後付けのスマートロックが取り付けられないため、 SwitchBot のロック導入時に、一般的なサムターンのレバーハンドル錠に交換していました。
インテグラル錠とレバーハンドル錠のイメージ(いずれもゴール社製品)
実際に SESAME 5 Pro を購入して取り付けてみたところ、追加のパーツも高さ調整も不要で、そのまま取り付けられました。下の写真は従来の SwitchBot ロックと SESAME 5 Pro の取り付けイメージです。
SwitchBot ロックと SESAME 5 Pro の取り付けイメージ
見た目でいうと、以前の SwitchBot ロックより少し高級感は劣りますが、サイズはかなりコンパクトになったので、すっきりした印象です。
SwitchBot ロック Pro は本体に押しボタン(クイックキー)がついており、それで解錠できたのですが、 SESAME 5 Pro にはそれがありません。ボタンでの解錠になれていたため、別途「リモート」を取り付けています。
サムターンの高さ方向だけなら標準のプレートをねじで取り付けるだけで調整可能です。もしサムターン部分が合わない場合も、特殊アダプターが売られているほか、メーカーにお願いすればわずか600円でカスタムのアダプターを作ってもらえるそうです。これはすごいサービスですね。
99%の鍵に対応可能: 基本的に、セサミ5が設置できるなら、セサミ5Proも設置可能です。セサミ5Proはセサミ5よりも使用範囲が広いです。別途特殊アダプターが必要な鍵の場合、有料600円/個(送料込・税込)にて3Dプリンターで作成しており、セサミ5Proと同時注文の場合も別途発送になります。 出典: SESAME 5 Pro
顔認証用の SESAME フェイスは、ドアに付属の両面テープで貼り付けました(このオフィスは賃貸なので、一応両面テープの下にマスキングテープを貼って保護しています)。
アプリ
スマホアプリは Android 版しか利用していませんが、可もなく不可もなくといったところです。いったん設定してしまえば、普段はそんなに開くことがないので、今のところ大きな問題はありません。
アプリのいい点
ロックの設定や指紋認証・顔認証の登録などは SwitchBot や Qrio と比べても複雑なステップがなく、簡単に設定が可能だと思います。
反面、確認メッセージなどが少ないので、機械ものに不慣れな方には難しく感じられるかもしれないのと、慣れないと誤操作も起こりやすそうな印象はあります。
アプリの不満点
デバイス一覧でデバイスを非表示にできないので、多くのデバイスを登録したときに見づらいです。なお、長押しドラッグで並べ替えはできました。
セサミアプリでデバイスを多く登録したじょうたいのデバイス一覧
なお、Hub3 を設置していても、Bluetooth の範囲内でなければ、一部を除きデバイスの設定変更や電池残量の確認・アップデートなどができません(下表参照)。特に電池切れが致命的な事態になるデバイスなので、正しい電池残量がリモートで確認できるようになることを期待しています。
Bluetooth (BLE) 接続範囲外で確認できる内容
製品 | 電池残量表示 | 設定変更 | アップデート |
---|---|---|---|
SESAME 5 | 〇 | × | × |
SESAMEフェイス (Pro含む) | × | × | × |
オープンセンサー | 〇 | × | × |
リモート | × | × | × |
また、アプリに複数のアカウントを登録しておいて切り替えることができません。私は自宅でもセサミを利用しているので、個人アカウントと会社アカウントを切り替えたいのですが、いちいちログアウトしてログインし直す必要があり、面倒です。なお、ログアウト方法はちょっとわかりづらいのですが、アプリの「自分」タブの画面を上にスワイプすると「ログアウト」ボタンが表れます。
履歴のアップロードと Hub3 について
施錠や解錠の履歴は、クラウドにアップロードされ、アプリのほか、メーカーが提供している SESAME Biz というサービスで確認できます。個人レベルの利用では無料の Free プランでも十分でしょう。
ただし、Hub3 がない場合、履歴はスマホアプリを開いたときにしか取得・アップロードされません。定期的に履歴をアップロードしたい場合は、Hub3 を設置することを強くおすすめします。
ちなみにこの Hub3 、SwitchBot 社のハブと比べて驚くほど小さく、届いたときは何が入っている箱かわかりませんでした。 USB-C から給電するタイプですが、AC アダプターや USB-C ケーブルは付属していないため、別途用意する必要があります。小さくていいのですが、逆に AC アダプターやケーブルのほうがかさばってしまい、設置場所に悩みました。そんな悩みを見透かしてか(?)、Hub3 コネクタという様々な形状の USB アダプターも売られていたります。
使用感
導入して約1ヵ月での使用感をお伝えします。
ロック本体について
まずロック(SESAME 5 Pro)自体の動作は、解錠・施錠ともに高速で、音もさほど大きくなく、SwitchBot ロックと同程度の印象です。この点に関して、不満やストレスは今のところありません。
あと施錠・解錠は SwitchBot ロックにあった、引っ掛かるような動きになるときがなく、よりスムースな動作に感じます。 SwitchBot や Qrio よりサムターン部分の遊びを大きくして、逆に引っ掛かりを減らした設計に見えます。
フェイス Pro とフェイスの顔認証について
弊社では SESAME フェイス Pro と SESAME フェイスの両方を利用していますが、違いはテンキーや NFC での解錠があるかどうかのみで、顔認証や手のひら静脈認証の仕様は同じのようです。顔認証の精度は高く、認識速度も速いです。また認証されてから実際に解錠されるまでもほとんどタイムラグがなく、ストレスは感じません。
ただ、人によっては、顔認証が始まるまでに時間がかかったり、顔の距離を何度か調整しないと通りづらい場合があるようです。顔を登録しなおしたり、複数登録すると改善される場合もあります。私も眼鏡の有無で、通らなかったので、両方の顔を登録しています。
施錠や解錠の履歴について
当初の目的である施錠・解錠の履歴については、うまく SESAME Biz で確認でき、 CSV や Excel でのダウンロードや API での取得もできています。このあたりについてはまた別の記事で紹介します。
SESAME Biz 上で履歴を見た時のイメージです。
オープンセンサーの開閉記録まできっちり残るのはいいのですが、個人による解錠履歴だけを見たいときはノイズになるので、履歴の種類によってフィルターできるとうれしいですね。
電池について
この手の製品を運用していく上で結構やっかいなのが電池です。セサミの各製品の電池の種類と本数は以下のとおりです。
商品 | 電池の種類・本数 |
---|---|
SESAME 5 Pro | リチウム電池 CR123A × 2個 |
SESAMEフェイス Pro | リチウム電池 CR123A × 6個 (最低2個で動作) |
SESAMEフェイス | リチウム電池 CR123A × 4個 (最低2個で動作) |
オープンセンサー | コイン電池 CR1632 × 1個 |
リモート | コイン電池 CR2450 × 1個 |
Hub3 | USB-C給電(バッテリーなし) |
SwitchBot ロックの初期の製品や Qrio Lock もそうでしたが、セサミの製品にも CR123A というリチウム電池が主に使われています。これはハイパワー・高容量であったり、温度特性や放電特性がよかったりという特長があるので、スマートロックによく用いられるのですが、入手性やコストの面ではアルカリ乾電池を比べてかなり不利です。
SwitchBot ロックの場合は、アルカリ乾電池(単3形)に対応させたり、専用のリチウムイオン充電池を発売したりして、電池問題の改善を図っていました。
セサミの場合は、自社ブランドの CR123A を自社で安価に販売する、というアプローチをとっています。通常 CR123A の小売り価格は 300円以上が多いのですが、 CANDY HOUSE の公式通販サイトでは 1本 163円という安価で販売しています。電池の容量も記載されているので、品質面でも安心感があります。
- CR123A (4本セット) – SwitchBot (スイッチボット) 1本 345円
- CR123A (1本) - CANDY HOUSE 1本 163円
エコの観点からどちらのアプローチがよいかはわかりませんが、「スマートロックをなるべくコストをかけずに広く使ってもらいたい」という CANDY HOUSE の思いは感じました。ちなみに SwitchBot も指紋認証パッドは CR123A でしか動作しません。
なお、CANDY HOUSE の公式通販 CR123A と同様に CR1632 や CR2450 といった電池も同様に安価で販売されています。送料が 210 円かかるので、場合によってはヨドバシ・ドット・コムのほうが安いかもしれませんが、まとめ買いする場合は CANDY HOUSE のほうがお得になる場合があるでしょう。
電池の持ちとステータスについて
一点気になるのが、この1ヵ月の間に SESAME フェイス Pro の電池残量が減ってしまい、顔認証ができなくなってしまったことです。電池は付属品の2本のみ入れていた状態でした。電池残量が少なくなると紫色のランプが点滅し、顔認証や手のひら静脈認証が使えなくなります(アプリからの解錠や、指紋認証やテンキー、NFC での解錠は可能です)。
SESAME フェイスは、しばらく認証が行われないとスリープ状態に入り、また人が近付くと起動して認証を行うようになります。この起動のたびに大きな電力を消費することが原因のようです。
問題の設置場所はオフィスビルの往来の多い廊下に面しているため、頻繁に不要な起動が起こってしまい、電池の消耗を速めたと考えられます。一軒家やマンションなど個人の住宅であれば、そこまで往来が多くないため、公称値(1年間)は達成できるのかもしれません。
なお、アプリで「レーダーの探知距離」という設定項目があり、この距離を短くすることで、ある程度不要な起動を抑えることができます。現在この探知距離を 40cm ぐらいに設定して、運用してみています。ただこの距離が短すぎる場合、認証のために近付いても起動しないことがあり、プチストレスにはなります。ちょうどいい距離を見つけるまで仕方ないのかもしれません。ちなみにこのドアは出入りも多く、電池切れはかなり困るので、6本すべての電池を入れることにしました。
余談ですが、自宅で運用している「オープンセンサー」は、運用から1ヵ月未満で電池残量が 19% という表示になりました。公式サイトには「電池寿命:10年」とあり、さすがに減りが早すぎるので、初期不良の可能性もあるかもしれません。ただ、交換しようと思っていたら、次の日にアプリを開くと 100% に戻っていました。アプリの表示が不安定なのかもしれません。
情報セキュリティマネジメント観点での利用規約等の確認
情報セキュリティマネジメントの観点から、会社でサービスを利用する場合、利用規約やプライバシーポリシーの内容を確認し、問題がないかチェックすることが求められます。具体的には以下のような点です。
- データの機密性
- データの完全性
- データの可用性(バックアップを含む)
- データの削除
- 第三者への開示の有無・ポリシー
セサミの場合、ホームページ(公式ストア)やアプリのプライバシーポリシーと SESAME Biz (入退室管理システム)の利用規約・プライバシーポリシーは別に定義されているので、それぞれ確認しました。
- ホームページ・アプリ
- SESAME Biz 入退室管理システム
ホームページ・アプリについては、最低限の個人情報しか渡していないため、あまり気にする必要はなさそうですが、 SESAME Biz のほうは入退室記録が保存されるため、慎重に見ていきます。
ホームページ・アプリのプライバシーポリシー
CANDY HOUSE プライバシー規約 の利用目的には以下のように記載されています。
1.個人情報の利用目的
弊社公式ホームページにて製品をご購入頂く際に、お客様より提供される情報(名前、住所、電子メールアドレス)および、弊社アプリにて登録いただく際にお客様より提供される情報(電子メールアドレス)につきまして、情報を受け取り、保管します。 CANDY HOUSE プライバシー規約
購入時の個人情報は運用とあまり関係ないので、省略します。アプリ登録時に必要になった情報はたしかにメールアドレスのみでした。
次に情報セキュリティ関連の条項を確認します。
6.セキュリティー
お客様の個人情報を保護するため、当社は合理的な予防措置を講じ、業界のベストプラクティスに従い、不適切に紛失、誤用、アクセス、開示、改ざん、または破壊されていないことを確認します。クレジットカード情報を提供する場合、情報はSSL(Secure Socket Layer)技術を使用して暗号化され、AES-256暗号化で保存されます。インターネットや電子記憶装置による伝送方法は100%安全ですが、我々はすべてのPCI-DSS要件を満たし、一般に認められている追加の業界標準を実装しています。 CANDY HOUSE プライバシー規約
はい、書いてある内容に問題はなさそうです。
9.利用データの削除
アカウントの削除をご希望の方は、当社までご連絡ください。アカウント削除後は、法令に基づく場合を除き、当社はお客様に対する製品・サービスの提供を停止し、お客様の要求に応じてアカウントを削除します。 CANDY HOUSE プライバシー規約
連絡すればアカウント削除に応じる、ということなので、こちらも問題ありません。
SESAME Biz (入退室管理システム)のプライバシーポリシー
プライバシーポリシー(SESAME Biz 入退室管理システム) では以下のようにプライバシー関連情報が定義されています。
1.プライバシー関連情報の定義について
当社は、お客様に対し、本サービス及び本製品をご案内、提供するにあたり、以下のお客様の情報(以下、「プライバシー関連情報」といいます)を取得します。
(1)登録・申込情報
メールアドレス(携帯メールアドレスを含む)、ユーザ名、氏名、住所、電話番号(携帯電話・FAXを含む)、会社・団体名、部署名、役職、勤務先所在地、その他連絡先に関する情報、クレジットカード情報など、本サービスのご利用、本製品のご購入に際してお客様が当社に提供したお客様ご自身の一切の情報及びデバイスの設置場所や利用者などお客様が登録した一切の情報(以下、総称して「登録情報」といいます)。
(2)デバイス情報
お客様が本サービスのご利用に当たり別途登録した本製品の対応デバイスの端末識別情報、位置情報及び本製品の開閉等に関する利用状況その他当該対応デバイスから取得する一切の情報。
(3)アクセス情報
IPアドレス、本サービスのご利用履歴、クッキー(Cookie)情報、ご利用端末の端末識別情報、ご利用端末から発信される位置情報など、当サイトへのアクセスを契機として機械的に取得される情報(以下、総称して「アクセス情報」といいます)。
(4)その他
お客様のお問い合わせ時の内容及び当該お問い合わせに関する情報、その他取得時に別途通知又は明示した情報。 プライバシーポリシー(SESAME Biz 入退室管理システム)
弊社の用途で主に重要なのは (1) 登録・申込情報 と (2) デバイス情報 でしょう。
3.プライバシー関連情報の管理
(1)情報種別ごとの分担管理
お客様から収集されましたプライバシー関連情報は、本サービス及び本製品の提供に必要な範囲で、当社及び業務提携・委託先で分担し、適宜保持・管理されます。
(2)当社でのプライバシー関連情報の取扱い
当社は、お客様のプライバシー関連情報を当社所定の管理基準に基づき厳重に管理し、紛失、破壊、改ざん、漏洩されることのないよう予防措置を講ずるとともに、万一このような事態が発生した際にはお客様へのご迷惑を最小限にとどめるよう速やかに対応致します。
(3) 業務提携・委託先でのプライバシー関連情報の取扱い
当社は利用目的の達成に必要な範囲において、お客様から取得したプライバシー関連情報の取扱いを業務提携・委託先に委託することがあります。この場合、当社は当該業務提携・委託先がプライバシー関連情報の取扱いにつき、十分なセキュリティ水準にあることを確認の上、委託するものとし、契約等を通じて必要かつ適切な監督を行います。 プライバシーポリシー(SESAME Biz 入退室管理システム)
(2) でデータの完全性については予防措置と万一の場合の対応について記載されています。
(3) で第三者提供についても言及されていますが、セキュリティ水準の確認や監督を行うとあり、問題ないでしょう。詳細は「4.プライバシー関連情報の第三者提供」にも記載されています。
5.プライバシー関連情報の開示、訂正、削除について
(1)各プライバシー関連情報の開示等の可否
プライバシー関連情報のうち、個人情報保護法に基づき当社に開示、内容の訂正等の権限がある登録情報については、 (2)の手続に従いお客様ご本人からのご請求により開示、訂正、削除を行うことが可能です。
(2) 開示、訂正、削除等の手続
当社は、お客様から取得した登録情報について、使用目的に応じ必要な範囲内において正確かつ最新の状態で管理するよう努めます。 全社プライバシーポリシーに則り、お客様が当社に提供した登録情報の開示、訂正又は削除を請求された場合、当社は、当該請求がお客様ご本人によるものであることが確認でき次第、適切に対応いたします。 なお、当サイトを通じてご提供いただいた登録情報の取扱いに関するご質問や、開示などのご請求の具体的な手続きにつきましてはsesame@candyhouse.coよりお問い合わせください。 プライバシーポリシー(SESAME Biz 入退室管理システム)
データの削除について言及があり、請求窓口も明示されているので、問題ないでしょう。
SESAME Biz (入退室管理システム)の利用規約
次に 利用規約(SESAME Biz 入退室管理システム) の情報セキュリティ関連の条項を確認します。
8.免責・無保証
(1)当社は、本サービスを現状有姿で提供するものとし、本サービスの内容の追加、変更、又は本サービスの停止、終了によってお客様に生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いません。
(2)当社は、本サービスの完全性、正確性、確実性、有用性、適法性、可用性等明示的か黙示的かに関わらず、いかなる種類の保証も行わないものとします。
(3)当社は、本サービスへのアクセス過多、その他予期せぬ要因で表示速度の低下や障害等が生じた場合の責任を一切負わないものとします。
(5)当社は、お客様によって登録される情報を監視、保存する義務を負わないものとします。
(6)当社は、本契約の定めに違反したことによってお客様に損害を与えた場合、通常損害、直接損害、逸失利益、間接損害、懲罰的損害及びその他の特別損害につき、一切責任を負わないものとします。但し、当社に故意又は重過失がある場合については、当社に適用される法令の範囲内で責任を負うものとします。 利用規約(SESAME Biz 入退室管理システム)
(4) がないのは気になりますが、削除になったのでしょうか。要するに故意か重過失がある場合以外は完全に無保証、損害賠償請求も不可能ということですね。
完全性についてもプライバシーポリシーでは予防措置と有事の対応に言及されていましたが、保証はされないということです。
11.秘密保持
(1)お客様は、当社が秘密に取り扱うことを求めて開示した本サービスに関する情報について、当社の書面による承諾がある場合を除き、第三者への開示・漏洩してはならないものとします。
(2)当社は、利用契約の締結に関してお客様から開示された情報又は本サービス提供について受領した情報については、本サービスの提供の本旨に従い当社にその利用が許諾されていると合理的に解される場合を除き、厳正に取り扱うものとし、第三者へ開示・漏洩しないものとします。
利用規約(SESAME Biz 入退室管理システム)
要するに必要な場合以外、情報は第三者に開示しないということですね。プライバシーポリシーと合わせて読むと、第三者提供は業務提携・委託先に限られる、ということになるでしょう。
- 利用契約終了時のデータ取扱い
(1)お客様が本サービスの解約を申し出たことにより利用契約が終了した場合、当該お客様は直ちに本サービスの利用を終了し、以後、本サービスを利用することはできないものとします。
(2)当社は、前項に基づき利用契約が終了した場合、当社の判断により当該お客様のアカウントおよび本サービスに保存された一切のデータを消去することができるものとします。
(3)当社は、前項に基づきデータを消去したことによりお客様に生じた損害について、いかなる責任も負わないものとします。 利用規約(SESAME Biz 入退室管理システム)
契約終了後はデータを消去する可能性があり、その結果生じた損害についても責任を負わない、ということですね。
情報セキュリティに関する評価
3つの文書を確認した結果、以下のように評価しました。
- ✅ データの機密性:問題なし
- ✅ データの完全性:保証されないが、努力はされる
- ✅ データの可用性(バックアップを含む):保証されない
- ✅ データの削除:請求すれば削除可
- ✅ 第三者への開示の有無・ポリシー:業務提携・委託先に限り開示 → 問題なし
サービスの規約・ポリシーとしては問題がないものの、データの完全性・可用性が保証されない点は注意が必要です。特に入退室記録は業務上重要なデータになるため、定期的に履歴データをダウンロードしてバックアップを取るなどの対策が必要になります。
まとめ
最初に挙げた条件に対するセサミの評価は以下のとおりで、すべての条件を満たしました。本文では触れませんでしたが、製品に関する問い合わせにも翌日に返信があり、カスタマーサポートの品質も今のところ満足しています。
- 【必須】解錠時に生体認証で個人を識別できること → クリア👍
- 【必須】施錠・解錠履歴を記録できること → クリア👍
- 【必須】施錠・解錠履歴データのダウンロードやエクスポートができること → クリア👍
- 【できれば】顔認証が可能であること → クリア👍
- 【できれば】施錠・解錠履歴を取得できる API が提供されていること → クリア👍
- 【できれば】カスタマーサポートの対応品質が高いこと → クリア👍
- 【できれば】ドアクローズ後に自動施錠ができること → クリア👍
- 【できれば】解錠速度が速いこと → クリア👍
いくつかのスマートロック製品を使ってきた経験から、以下の点でセサミは小規模オフィスの入退出管理に適していると言えます。
- 生体認証(顔・指紋)による個人識別が可能
- 施錠・解錠履歴の記録・エクスポート・API での取得が可能
- 良心的な価格設定で導入がしやすく、コストパフォーマンスの高さ
- カスタマーサポートが迅速かつ丁寧
一方で、電池の持ちやアプリの使い勝手など、改善の余地もあります。今後のアップデートに期待しつつ、現状でも十分に実用的なソリューションだと思います。
利用規約上、データの完全性・可用性が保証されないため、定期的に履歴データをダウンロードしてバックアップを取るなどの対策を講じることをおすすめします。別の記事では SESAME API を使って、施錠・解錠履歴を Google スプレッドシートに記録する方法を紹介する予定ですので、興味のある方はそちらもぜひご覧ください。