Laravel 9 の新しいアクセサとミューテータを使ってみた
こんにちは。
Laravel の新しいバージョンとなる Laravel 9 が 2022/02/08 にリリースされました。
今回のバージョンは、 Laravel 6 以来の長期サポート (LTS) となるため、しばらくお世話になりそうです。
バージョンアップに伴い、いくつか新しい機能が追加されていますが、主にバックエンド側のプログラムを実装する機会が多い私としては、 新たな記述方法が追加されたアクセサとミューテータ に興味津々です。
というわけで、さっそく使ってみました。
Laravel 8 以前のアクセサとミューテータの書き方
さっそく使ってみるといいましたが、まずは従来のアクセサとミューテータについて触れておきます。
namespace App\Models;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
class User extends Model
{
// アクセサ
public function getZipCodeAttribute($value)
{
// 3桁-4桁の書式に変換
return substr($value ,0,3) . '-' . substr($value ,3);
}
// ミューテータ
public function setZipCodeAttribute($value)
{
// 全角数字を半角数字に変換し、半角数字のみを抜き出す
$this->attributes['zip_code'] = preg_replace('/[^0-9]/', '', mb_convert_kana($value, 'n'));
}
}
皆さんお馴染みの get●●Attribute
や set●●Attribute
のやつです。●●
の部分は、アクセスする属性名をパスカルケースで記述する必要があります。
アクセサ
$user = \App\Models\User::find(1);
// DB には 5530001 と格納されているとする
dd($user->zip_code);
// 変換された '553-0001' が得られる
上記のように zip_code
に 5530001
という値が保存されている場合、 zip_code
へアクセスすると変換された値 553-0001
が得られるというものです。
ミューテータ
$user = new \App\Models\User;
$user->zip_code = '553-0001';
$user->save();
// DB には '5530001' と保存される
上記のように zip_code
に 553-0001
を格納しようとすると、全角数字を半角数字に変換し、半角数字のみ抜きだされた 5530001
が格納されることになります。
Laravel 9 での新しいアクセサとミューテータの書き方
お待たせしました。本題です。今回追加された記述方法で先ほどのアクセサとミューテータを実装してみます。
namespace App\Models;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
use Illuminate\Database\Eloquent\Casts\Attribute; // 👈 この追記が必要です
class User extends Model
{
public function zipCode(): Attribute // 👈 この型宣言が重要
{
return new Attribute(
// アクセサ : 3桁-4桁の書式に変換
get: fn ($value) => substr($value ,0,3) . '-' . substr($value ,3),
// ミューテータ : 全角数字を半角数字に変換し、半角数字のみを抜き出す
set: fn ($value) => preg_replace('/[^0-9]/', '', mb_convert_kana($value, 'n')),
);
}
}
アロー関数を使っているのもありますが、ずいぶんと見た目が変わりました。
メソッド名に get●●Attribute
や set●●Attribute
のような接頭辞や接尾辞が不要になっており、メソッドを1つにまとめることができるようになりました。また、戻り値の型を Illuminate\Database\Eloquent\Casts\Attribute
にしておかないとアクセサ・ミューテータとして動作しないので注意してください。
tinker で実際の動作を確認してみました。
>>> $user = new App\Models\User();
=> App\Models\User {#3493}
>>> $user->zip_code = '123ー4567';
=> "123ー4567"
>>> $user->zip_code
=> "123-4567"
アクセサが期待通りの値を返していることが確認できます。また、var_dump() 等でモデルの中身を確認すると ["zip_code"] => string(7) "1234567"
としっかり変換後の値が格納されてました。
戻り値の型宣言について
試しに戻り値の型を宣言しなかった場合の動作を確認してみました。
public function zipCode()
{
return new Attribute(
// アクセサ : 3桁-4桁の書式に変換
get: fn ($value) => substr($value ,0,3) . '-' . substr($value ,3),
// ミューテータ : 全角数字を半角数字に変換し、半角数字のみを抜き出す
set: fn ($value) => preg_replace('/[^0-9]/', '', mb_convert_kana($value, 'n')),
);
}
これで実行してみると。。。
>>> $user = new App\Models\User();
=> App\Models\User {#3493}
>>> $user->zip_code = '123ー4567';
=> "123ー4567"
>>> $user->zip_code
=> "123ー4567"
>>>
zipCode()
というファンクションは実装されていることになりますが、 $user->zip_code
はただのプロパティーになってしまいます。
ちなみに、 zipCode()
を呼び出してみると Illuminate\Database\Eloquent\Casts\Attribute
のオブジェクトが返ってきました。
>>> $user->zipCode();
=> Illuminate\Database\Eloquent\Casts\Attribute {#3489
+get: Closure($value) {#3491 …4},
+set: Closure($value) {#3492 …4},
+withObjectCaching: true,
}
まとめ
個人的には、メソッドをまとめることができるようになった点が気に入りました。
今回は、アクセサとミューテータを両方実装したメソッドにしましたが、一方のみ実装したメソッドでも問題ありません。
Laravel 9 には今回紹介したもの以外にもいろいろと追加された要素がありますので、気に入ったものはどんどん紹介していければと思っています。