MSEN がシステムエンジニアに英語力を望む理由
先日、英検 2 級に合格しました。
2 級は高校卒業レベルとされていますが、技術系で生きてきた人には意外と英語が苦手な人が多く、「プログラミング言語は読めるのに英語は読めない」というのも少なくありません。
かくいう我が社も例外ではありません。 MSEN では英語力の向上を推進しており、最低限、英検 2 級レベルに到達することを目標にしています。
今回はなぜ弊社がメンバーの大事な時間を使ってまで英語力向上を推進するのか、考えをまとめてみたいと思います。
IT エンジニア自身が英語を学ぶモチベーション
まず**エンジニア個人のモチベーション(動機)**としては、なにより「英語圏の情報が活用できるようになる」ことが挙げられます。
近年は Qiita など日本語の情報サイトも多いですが、やはりまだほとんどのテクノロジーの発祥は英語圏であり、中国のプロジェクトであってもドキュメントは英語のことがほとんどです。
おそらく比率から言えば日本語の情報は数%にすぎないので、日本語しか読めないということは、この数%の情報にしかリーチできていないということになります。仕事の質や自分のスキルを向上させるチャンスを逃しており、大変大きな機会損失です。
しかも日本で働いているとなかなかこの機会損失に気づきません。だって誰も教えてくれませんから。
「日本以外の文献を活用できる」、これだけでも十分なモチベーションであるはずです。
また、言語野というか、脳の違った部分を使っていくことで、全体の能力(脳力)向上につなげようという意図もあります。その意味では別に英語である必要はないのですが、前述の理由も併せて、現状ではシステムエンジニアが勉強する外国語としては英語が現実的かつ実用的でしょう。
弊社のメンバーは比較的若いので、個人個人として見たときは、将来の職業選択の可能性を拡げるという大変重要な効果もあります。ここでも「日本以外」の職にリーチできるということは、機会が爆発的に増えることになります。
英語にかかわらず、人より優れたものがあれば、人とは違う選択肢が表れます。選ぶかどうかは別として、選択肢があるということはいいことだと思います。
なぜ会社で推進するのか
もちろん、先に紹介した個人としてのモチベーションのほかに、会社としてのモチベーションが存在します。
パッと思いつくだけでも下記のようなものがあります。
- 情報収集能力の向上
- 情報発信力の向上
- ソースコードの品質向上
- コミュニケーションの改善
- オープンソースコミュニティへの参画
- 外国人採用の選択肢拡大
いずれも副次的ではありますが、長期的に会社の発展を考えると、とても重要な要素です。
ちなみに、弊社は日本資本(笑)ですし、取引先も現状ではすべて国内ですので、英語を公用語化しようというつもりはありません。
Google 翻訳でいいじゃん
ところで最近は、正しい文法で書かれた英語であれば、ある程度の正確さで(しかも無料で)ページごと翻訳して表示できるようになりました。
このため、「英語が読めなくても読める」時代にきています。しかし「英語が読めなくても英語の情報も得られる」と考えるのは早計かもしれません。
しかし、情報を得るためには「読む」以前に「見つける」 ことが必要です。日本語でもそうですが、案外この「見つける」ほうが難しいものです。
経験上、日本語の検索ワードから英語に翻訳しても、専門用語の文脈できれいに翻訳してくれることはごく少ないので、結果、必要としている情報を「見つける」ことはまだまだハードルが高いと思います。
「見つける」ためには語彙、つまりボキャブラリーをできるだけ増やし、文脈にあった適切な単語を選択できる能力が必要です。
なぜ TOEIC でなく英検か
長らく日本で英語力をはかる指標として TOEIC が絶大なる人気を誇っており、大企業や国立大学までもが、こぞって TOEIC のスコアを基準に採用しました。
このため(あくまで主観ですが)TOEICは「受験・就活に必要だから」とか「昇進に必要だから」というような、少し受け身の受験者も多かったのではないかと思います。
TOEIC とそれにのっかった英語教育ビジネスは、日本の英語コンプレックスが奏功して、かなりの規模の市場になりました。これ自体はいいのですが、 TOEIC の性質上、「TOEIC のスコアは高いけど、英語できない」人も大量発生する結果になりました。
英検はその陰で脈々と続いてきました。私自身、 20 年ぶりに受けて分かったのは、英検はバランスのよい試験だということです。
TOEIC はどうしても「読む」「聞く」のインプット側だけに特化してしまいます。読み書きの能力を高めるには、当然ながら「書く」トレーニングが必要ですし、英会話で聞いているだけでは文字通り、話になりません。
国語で作文をさせずに育てる学校はないと思いますが、なぜか日本の英語学習では作文をさせる機会がほとんどないように思います。
英検の場合、3級であっても 「読む」「書く」「聞く」「話す」 といった 4 要素が必ず出題されるため、受験するにはなんらかの学習をしなくてはなりません。
経験から言って、「書く」あるいは「口から出す」ことによって、学習効率は飛躍的に高まりますので、この特徴は大変よいと思います。
TOEIC でも Speaking & Writing という試験がありますが、受験料が通常の TOEIC と合わせて1万6千円ほどと高く、3 日間の試験になるため、英語を専門としない人が積極的に受けていくにはハードルが高いでしょう。
そういった偏りが少ない点、ハードルの低さという観点で英検はバランスがとれていると感じました。
まとめ
ということで MSEN では英語力向上を推しています。
ぜひとも「やらない理由」より「やる理由」を探して、語学力を高めていきましょう。