Vagrant で ansible_local プロビジョナーに Ansible Vault のパスワードを渡す

Ansible でパスワードの書かれたファイルを直接リポジトリにコミットしたくない場合、 Ansible Vault を用いて暗号化します。

この暗号化されたファイルの含まれた Ansible を実行しようと思うと復号化してやらないといけないのですが、 Vagrant のプロビジョナーだとこれがなかなかうまくいかなかったのでハマりました。

前提

  • Windows 10 Pro
  • VirtualBox 5.0.20
  • Vagrant 1.9.1
  • box: bento/centos-7.2
  • リポジトリの /provision ディレクトリ以下に ansible のソースがある
  • /provision/group_vars/web/vault.yml が vault で暗号化された設定ファイル
  • ansible_local プロビジョナー (Ansible Local Provisioner) を使いたい

なぜ ansible_local プロビジョナーかというとホストマシン側になにもインストールする必要がないからです。複数の開発者で進める場合はできるだけインストールするものが少ないほうが望ましいですね。

パスワードの指定をどうするか

まず下記のように Vagrantfile に書いて vagrant up --provision で実行します。

config.vm.provision "ansible_local" do |ansible|
  ansible.playbook = "provision/vagrant.yml"
end

当然ながら vault.yml が復号化できないので怒られます。

$ vagrant up --provision
Bringing machine 'default' up with 'virtualbox' provider...
==> default: Running provisioner: ansible_local...
    default: Running ansible-playbook...
ERROR! Decryption failed on /ansible/group_vars/web/vault.yml
Ansible failed to complete successfully. Any error output should be
visible above. Please fix these errors and try again.

ask_vault_pass オプション

公式ページ (Ansible – Provisioning – Vagrant by HashiCorp) に ask_vault_pass オプションが使える、とあるので指定してみます。

config.vm.provision "ansible_local" do |ansible|
  ansible.playbook = "provision/vagrant.yml"
  ansible.ask_vault_pass = true
end

しかし、下記のように ask_vault_pass なんて知らぬ、とエラーがでます。

$ vagrant up --provision
Bringing machine 'default' up with 'virtualbox' provider...
There are errors in the configuration of this machine. Please fix
the following errors and try again:

ansible local provisioner:
* The following settings shouldn't exist: ask_vault_pass

よく見てみるとこの ask_vault_pass オプションは Ansible (Remote) Provisioner のオプションなので、 ansible_local プロビジョナーには使えないのです。

raw_arguments オプションで vault-password-file を指定する

下記のページによると raw_arguments というオプションで Ansible コマンドのオプションが渡せるらしいということがわかったので ansible.raw_arguments = "--ask-vault-pass" を指定してみましたが、やはりエラーになりました。

気を取り直してパスワードファイルを直接指定して読み込ませる vault-password-file オプションを raw_arguments に指定してみました。

.vault_password ファイルには平文でパスワードを書き、 /vagrant ディレクトリに配置しました。まぁローカルなら平文パスワードでもいいだろう、という発想です。

config.vm.provision "ansible_local" do |ansible|
  ansible.playbook = "provision/vagrant.yml"
  ansible.raw_arguments = "--vault-password-file=.vault_password"
end

これを実行するとオプション自体は指定できているようですが、下記のエラーが発生します。

$ vagrant up --provision
Bringing machine 'default' up with 'virtualbox' provider...
==> default: Running provisioner: ansible_local...
    default: Running ansible-playbook...
ERROR! Problem running vault password script / v a g r a n t / . v a u l t _ p a s s w o r d ([Errno 8] Exec format error). If this is not a script, remove the executable bit from the file.
Ansible failed to complete successfully. Any error output should be
visible above. Please fix these errors and try again.

すごいブランクで強調されていますが、要するに .vault_password が実行可能ファイルになっている (パーミッションに x が立っている) のがダメらしいです。

実際、 vagrant に ssh でログインして ll -a /vagrant を叩いてみればすべてのファイルが rwxrwxrwx (777) になっていることがわかります。これは Windows から共有しているフォルダだとパーミッションが設定できないせいです。

ということはファイルのパーミッションを変更してやる必要があるわけですが、当然 chmod 664 .vault_password などとしたところでファイルが存在しているのは Windows なのでパーミッションは変わりません。

プロビジョニング用共有フォルダの追加

vagrant の共有フォルダにはデフォルトのパーミッションを指定できる mount_options オプションがあるので、これを使ってプロビジョニング用の共有フォルダを新しく下記のように定義しました。

config.vm.synced_folder "./provision", "/provision", id: "ansible", owner: "vagrant", group: "vagrant", mount_options: ["dmode=775,fmode=664"]

ディレクトリのパーミッション (dmode) は 775、ファイルのパーミッション (fmode) は 664 としています。また、この共有フォルダでは provision フォルダ以下だけを VM 側の /provision にマウントします。

設定を変更したら vagrant reload でロードしなおし、SSH でログインして /provision ディレクトリが存在して、ファイルのパーミッションが 664 になっていることを確認しておきます。

新しく共有フォルダを定義したので ansible_local のパス指定を /provision 基準に変更し、.vault_passwordprovision に移動しました。

config.vm.synced_folder "./provision", "/provision", id: "ansible", owner: "vagrant", group: "vagrant", mount_options: ["dmode=775,fmode=664"]
config.vm.provision "ansible_local" do |ansible|
  ansible.playbook = "/provision/vagrant.yml"
  ansible.raw_arguments = "--vault-password-file=/provision/.vault_password"
end

これで vagrant up --provision を叩くと…動きました!!

長かった…。

共有フォルダは追加で定義しているのでデフォルトの /vagrant には影響がありません。

あ、当たり前ですが、平文パスワードが含まれる .vault_password ファイルがリポジトリに上がってしまわないように .gitignore に追記しておきましょう。

# Vagrant
*.box
.vagrant/
.vault_password

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