CTOからみた20代のITエンジニアが基本情報技術者を取るべき5つの理由

先日10月15日に 基本情報技術者試験 を受けてきました。

私は今まで独学の人だったので、高校のときに初級シスアドを趣味で取って以来、情報系の試験は受けてきませんでした。今は CTO という立場なのでさほど必要性はないのですが、基礎の再確認と頭の活性化のために後輩と一緒に受験しました。

受けてみてわかったこと、若手エンジニアが早い段階で基本情報技術者を受けておくべき理由を書きとめておきたいと思います。ちなみに基本情報技術者に限らず応用情報技術者にもあてはまります。

会社で強制されて嫌々受験する人もいるかもしれません。しかしせっかく自分の時間と力を費やすのですから、活さないと損です。

とはいえ、なにに役に立つのかを知らないまま勉強するというのは辛いものですから、僭越ながら目的意識をもって勉強する一助になればと思います。

(1) 給料がよくなるから

まずはわかりやすい「お金」です。

中規模以上の企業であれば資格手当のようなものがあるところも多いでしょう。あるいは主任などの上位職に就くための最低条件かもしれません。いずれにしろ、資格を取ることで給料が上がる可能性は高いでしょう。

第一のモチベーションとして「お金」というのは、非常に力強いと思います。

特に20代のころは、キーエンスやファナックでもない限り、満足のいく手取り額ではないでしょうから、資格手当がつくだけでも嬉しいでしょう。

せっかくなので個人的にはなんらかの投資に回してほしいと思いますが、いずれにせよ自分の自由になるお金が増えるのですから、嫌だという人は相当なひねくれ者でしょう(笑)

仮に資格手当が月2,000円だったとして年間24,000円、10年間で24万円です。たった5,700円の元手でこれだけのリターンを安定的に得られる金融商品はまずありません

この理由一つだけでも5,700円の受験料と数ヶ月の時間を費やす価値はあるのではないでしょうか。

ただ、残念ながら転職に有利だということはあまりないでしょう。

第二新卒ぐらいまでは胸を張れると思いますが、即戦力が重視される中途採用市場では参考程度にしか考慮されないのではないかと思います。

(2) 学んできたことを担保できるから

基本情報技術者の「基本」は英語では Fundamental と訳されます。これはほぼ Basic と同じ意味合いで、いずれも「基礎・基盤」のような意味合いをもっています。それぞれ foundation や basis などが名詞系で存在するので、そこが源泉なのだと思います。

まぁ語源はともかく、この名前が意味しているところは「情報技術者の基礎となるような知識」の試験である、ということです。

つまりこの試験に合格していれば「情報技術者の基礎となるような知識」を学んだことが担保されるわけです。東大に合格すれば基礎学力があると見なされるのと同じことです。

勉強のしかたにはいろいろありますので、一夜漬けや虎の巻で一朝一夕に合格できた人もいるかもしれませんが、人間は一度見たものをすべて記憶しているという脳科学の仮説からすると、そういった勉強方法でも大部分の知識は頭に断片として記録されているはずです。

頭の中に記録された点同士はふとしたきっかけで線を結びます。これが重要だと私は思っています。

「学んだ」ことを担保するには学校をでるか、資格をとるかしかありません。この担保力は基本情報技術者の「国家資格」というものがもつ有意な特性だと思います。

(3) 論理的思考が養われるから

国家資格だけあって、基本情報技術者の問題文はなかなか難解です。特に午後問題は、長文を読む体力がなければ、実は簡単な問題であっても、力尽きて解けないことがあるでしょう。

長文を読む体力は小説や実用書を読むことでも身につきますが、論理的思考(ロジカルシンキング)はそれだけでは身につきません。

コンピューターはそもそも論理(=ロジック)で動いているので(笑)、基本情報技術者の問題もその多くがロジカルな問題です。

問題の論理が読み解けなければ、簡単な問題でも極端にむずかしく感じられます。逆に、答えを知らなくても、論理的に考えれば答えを導ける場合もあります。

たとえば午後試験に出題されるセキュリティの問題などはその典型で、知識がなくとも論理から答えが消去できたり、推論したりできる問題が多いと感じました。

物事を論理的に考えるのはプログラマーにはなくてはならない能力ですが、営業職や事務職にとっても論理的思考はとても大事な能力です。

基本情報技術者の過去問を解くだけでもかなりの思考トレーニングになります。左脳の体操のつもりで午後問題に取り組んでみてください。

(4) 社会基盤を支えるITリテラシーを学ぶのに最適だから

すでに受験された方、あるいは今勉強されている方は「なんでこんなのをITエンジニアが学ばないといけないんだ」と思った部分があったのではないでしょうか。これから勉強をはじめる方も必ず一度は感じるはずです。

たとえば「貸借対照表」や「仕訳」といった会計や財務関連の知識、「経営戦略」などの知識、あるいは製造業でしか使わなそうな用語などです。

たしかに「基本情報」という言葉から直結しにくいので「わたしはプログラマーだからこんなの関係ない」と感じても無理はありません。

しかしこれらの「パッと見関係なさ気な知識」は想像以上に重要なのです。

あなたが今後、ITエンジニアとして仕事をしていくためには多様な人と話し、意見を聞き、形にしていかなければなりません。

そのときに相手の言っている内容がわからなければどうするでしょうか。

素直に「勉強不足でわかりません」と言えるでしょうか。多くの場合は、話の流れをつかむことができず、うわべだけ適当な返事をして、わかったフリをしてしまうのではないでしょうか。

残念ながら先達の相手にはすぐに見透かされてしまいます。当初は「若いから」と大目にみてもらえるかもしれませんが、それが積み重なると、相手からの信頼を失ってしまいます。逆に言えば、まともに話ができるだけで、一定の信頼を獲得できます

もしほとんどわからない状態でも相手からの信用を得られるのだとすれば、それは天才か詐欺師です。普通の人にとっては、英単語や文法を学ばずに英語を聞き流すだけでいいという謎な教材と同じぐらいありえないことです(笑)

さておき、仕事で会話するためには相手と言語を共通にする必要があります。

いわゆる「リテラシー」というものです。

英語でもIT業界でもそれ以外の業界でも「リテラシー」が必要なのは一緒なのです。

ただ、ITエンジニアと他の業種、たとえば製造業に従事している方を比べると、ITエンジニアのほうが身につけるべき「リテラシー」の幅は圧倒的に広いでしょう。

これはなぜでしょうか。

私が考えるにITというものが、すでに社会の基盤技術であるからです。つまりITエンジニアが支えるのは「IT業界」という狭い枠組みではなく「社会の基盤」なのです。

そう考えると「ITリテラシー」というのは「IT業界の専門用語」にとどまらないことがわかります。

今後、ITが基盤となる業界はさらに拡大することでしょう。それにともなって、必要とされるリテラシーも拡大していきます。もちろん全部をカバーすることは不可能ですが、視野を広げる努力は惜しむべきではありません。

ということで、浅く広く知識を学べる基本情報技術者は「リテラシー」醸成の第一歩として、それなりに有意義な構成になっていると思います。

(5) エグゼクティブの下地が含まれているから

どんな業種でもそうですが、目指すか目指さないかは別として、サラリーマンの最高地点は「社長」(あるいは「経営者」)でしょう。

一般に、経営者には広い視野と教養が求められます。経営戦略や法務は言わずもがな。

たとえば先ほどの財務関連の知識、これも経営にとって必須の能力です。

自社の財務状況を把握できない、他人任せという状態では、お金のコントロールができません。会社というのはお金を稼ぐことが目的の組織ですので、そのお金の流れを把握できないというのは、経営者として無責任です。

戦略のない経営や法律を遵守しない経営もまた無責任です。つまるところ、基本情報技術者の一部には会社経営の「基本のキ」ぐらいが含まれているのです。

あとがき

余談ですが、20代のエンジニアの方には、今の会社で上り詰めるでもいいし、自分で独立するのでもいいですが、ぜひとも経営者というものを目指してほしいと思います。

夏目漱石の「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」とまでは言いませんが、常に向上心を持ち続けることは人生を豊かにするためにとても大事だと思います。

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